|「かつての、とか今の

「かつての、とか今の、とかイリス、君はそこをどう考える?」
「え?いやそれは普通にWが二人いる……とか?」
「だとすると余計に厄介だね。何かの件で人が変わったようになってしまい、それに対してかつての、とか今の、という意味ならばWは一人なんだろうけどWという人物が複数いるなら……確実に何かの組織として暗躍してるだろうね」
「クリスは実際の所どう思うの?」
「ん?あぁ、普通に複数いると思うよ。最初知り合ったのは同年代、でも前の日記には若造だとか書かれてたんだろ?同一人物に向ける言葉かね、果たして。一人だけだといいなってのは、あくまでも面倒を避けたいこっちの願望」
事も無げに言われ、イリスは一瞬考え込んだ。彼の言葉は本心なのだろう。確かにWと呼ばれる人物が複数いて、それが何かの組織めいた活動をしているならば。モンスターを実験の流れで創ってしまうような相手だ。仲介手数料が割引されている!
世界平和のための活動、というよりはその逆を考えるべきだろう。

「さて、どうするイリス。君の祖父に宛てた何かがこうなってくると本当にあるかどうか、あったとしてもそれが持ち帰る事ができるものかどうか……こうなってくると疑わしいね」
「……それは、もう諦めて家に帰れ、って事?じいちゃんにも何もなかった、って言えって事?」
恐らくそういう事なのだろうと思っていたのだが、あっさりとクリスは否定してみせた。

「まさか。この日記に書かれているあいつってのが君のおじいさんなら、Wは彼に興味を抱いたと書いてあるし、ここでイリスが何も見つからなかった、と言ったとして今度は直接Wとやらは君のおじいさんに接近するかもしれない。ここが本当に『人喰いの館』であるという証拠がこうしてここにあるんだ。後は騎士団に任せる、って方法もあるよって言っただけ」
この館に来たばかりの頃ならともかく、確かに今なら騎士団が動く理由は充分すぎる程存在する。
けれどもイリスは首を横に振る。

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